2024年度入学式を行いました
2024年3月31日、神山まるごと高専2回目の入学式を行いました。
入学式の理事長と校長の式辞を紹介します。
理事長の寺田です。
新入生の皆さん、改めて、Welcome to 神山まるごと高専。
入学、おめでとうございます。
そしてご参加いただいている保護者のみなさま、スカラーシップパートナーの皆さま。ご来賓の皆さま。
本日はお忙しい中、お越しいただきありがとうございます。開校から一年が経ちましたが、本日、こうして新たに、新入生の皆さんを迎えることをとても嬉しく思います。
私たち、神山まるごと高専はミッションとして、
「モノをつくる力で、コトを起こす」。これを掲げています。「モノをつくる力で、コトを起こす」
これは学生の皆さんに、モノづくりの力で、社会を動かす。コトを起こしていってほしいという願いと、
スタッフ・教員である私たち自身が、この学校づくりという「コト起こし」を仕掛けていく。そんな思いが込められています。私自身、起業家の端くれなわけですが、この「コト起こし」って、いうは易しで、色んなことがあります。
神山まるごと高専のそれも、この1年間は、さまざまな試行錯誤の連続でした。
スタッフ全員で、パートナー企業の皆さんと。そして創業メンバーでもある一期生たちと、地域社会の皆さんと一緒に、学校づくりに向き合った。そんな一年でした。今、ここに集った二期生となる皆さんは、その創業の輪の中に、加わることになります。
「テクノロジー×デザインで、人間の未来を変える学校」これは神山まるごと高専 創業コンセプトでもあります。
この神山まるごと高専を一緒に創業する仲間に、
起業家を目指すみんなに、私からメッセージを贈りたいと思います。みんなは、自分自身の選択でこの場に集っている。そう理解しています。
地元の高校に進むとか、いわゆる普通の選択肢が当然ある中で、
あえて、この先どうなるかわからないこの新しい学校を選んで、この場に来てくれている。それ自体本当に嬉しいです。ありがとう。たくさん考えたり、悩んだりしたかもしれませんが、そこにはきっと、みんな一人ひとりの意思があって、決断があったんだと思います。
きっとみんなにとって、神山まるごと高専に進むんだというその意思・選択こそが、
本校が育もうとしている、起業家精神のある意味、芽生えなんじゃないかなと思います。
つまり、みんなの中に、もう起業家精神の芽があるということです。この芽生えた起業家精神をもとに、どうやってモノをつくる力で、コトを起こしていくか。
この学校では、「βメンタリティ」という言葉を掲げています。「βメンタリティ」
これは、この学校のVision、ありたい姿にも掲げていますが、
「全ては成長の途上にある」というスタンスです。全てはβ・仮説・未完成である。だからアップデートし続ける、完成系はなく成長し続ける。
私たちはこのβメンタリティを大事にしています。このβメンタリティを持って、モノをつくる力で、コトを起こす。
このβメンタリティを僕なりに少し言い換えてメッセージにしたいと思います。2つあります。1つ、「やりたいことって決めてみるもの」ということです。
やりたいことって、みんなの中にあったりなかったり、
なかなか曲者で、面接の時にはやりたいことを語ったりしますよね。だけど実際には、明確に持っている人もいれば、入った後にわからなくなってしまう人もいる。βメンタリティという考え方自体は、「やりたいことって見つけるものではなく、決めていくもの」というものです。決めてみるものなんですね。
つまりβ・仮説で動いてみればいい。ということです。
なぜなら、やってみなきゃわからないからです。
これが自分に合っているかな。とかいろいろ頭で考えるのではなく、まずは飛び込んでみる。やりたいことが見つからないと言っている場合ではない。
やりたいことを仮決めして動いてみる。それでしかないと思います。僕自身、47歳を越えた今でも、やりたいことってぼんやりあるような。これでいいのか、わからなくなることばかりです。ただ、きっとこうじゃないかと決めて動く。そんな中で発見して、またそれをアップデートしていく。その毎日が自分を成長させているなと思います。
やりたいこと自体が、βであっていい。むしろやりたいことなんてβであるべきだ。
そんな気持ちで、毎日を送って欲しいと思います。もう一つは、「失敗なんてない」っていうこと。
僕も十五歳の頃は、下手したら、20代に入っても、物事には一つひとつ、成功と失敗があるんだと思っていました。
それは、まるで天国と地獄くらい、大きく違うものでした。
失敗するのって、恥ずかしかった。失敗するくらいだったらチャレンジしたくないと思っていた。でも今、起業家になって思うのは、
物事を進めるときには、何か目標を定めてそこに向かう。その道中では、うまくいかないことを試行錯誤しながら、一歩一歩、足を進めていくことしかできないんだということです。こっちが目標を実現する道だと進んでみたら、道が途中で途切れていた。こっちに進んでいたら、落とし穴に落ちてしまった。けど、そこから這い上がって進んでいくしかないし、進んだ道を間違えていたら戻ればいい。もしかしたら、その間違えた道が新しい道との出会いを与えるかもしれない。そうなった時に、その間違えた道は失敗だったのか。
そうではないと思います。それは学びでしかない。その考え方こそβメンタリティなのだと思います。
みんなにはこの失敗なんてないんだという気持ちを、βメンタリティと捉えてどんどんチャレンジしていってほしいなと思います。予定通り過ごせば、皆さんはここで5年間という時間を過ごすことになります。
たっぷりあるように見えて、あっという間かもしれません。
いずれにせよ、ここで言いたかったのは、βメンタリティ。やりたいことを決めてみる。失敗なんてないんだという気持ちで、この場で、この土地で、この空間で、チャンレンジしていってほしい。モノをつくる力で、コトを起こしていってほしいと思います。その結果として、実際にコトを起こしたり、この5年間でコトが起きなかったとしてもそのトライの中でみんなを成長させていくと思います。
5年後、卒業式を迎える皆さんとが全くの別人になるかのように成長していってくれたらと思います。
その自身の変化・成長を、ぜひ楽しんでもらえたらと思います。そして、みんなはこの学校を経て、進学をしたり、留学をしたり、そして起業したりするかもしれない。いずれにせよ、社会にでます。
ひとたび社会に目を向けると、どんどん世の中の流れが早くなっていって、私自身、目が眩むようです。
AIは、去年1年間でさらに加速しました。シンギュラリティを超える日は遠くないです。
そして、覇権をとっていくサービスのほぼ全てが海外から出てきている。私自身、この状況を前に、そして日本が置かれている状況に想いを馳せると、自分自身の無力感に苛まれます。
けど、未来は作るものだとも思います。
決まった未来なんてない。未来こそがβなんだとも思います。私が好きなパーソナルコンピュータの父と呼ばれるアラン・ケイは、こんな言葉を残しています。
「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」
「The best way to predict the future is to create it」
まさにそうだなと。かくありたいなと思います。この学校のコンセプトは、テクノロジー×デザインで、人間の未来を変える学校
みんなのβメンタリティが、人間の未来を変えること、素晴らしい未来を作ることを信じています。
そして私自身も、ここにいるスタッフ一人ひとりも、その一員でありたいと思っています。一緒に、モノをつくる力で、コトを起こしていきましょう。
神山まるごと高専
理事長 寺田親弘以上です
校長の大蔵です。
まずは42名の学生の皆さん、ようこそ神山まるごと高専へ。みなさんとこうして入学の日を迎えることをとても嬉しく思います。
保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。この開校してまもない全寮制の学校に送り出すことは、きっと色々な思いがあったと思います。本校に入学したいというお子さんの背中を後押しいただいたこと、本当に感謝しています。
ご来賓の皆様、各パートナーの皆様、地域の皆様、昨年の開校からこの1年間あらゆるサポートをいただき本当にありがとうございます。皆様のおかげで2年目を迎えることができ、改めて感謝申し上げたいと思います。
学生の皆さんには、昨日の入寮式の際に伝え忘れていたのですが、みなさんは高校生ではなく高専生になりました。その意味は、早ければ半年後の夏休みもしくは1年後の春休みに中学校時代の同級生と再開した時に多くの人が気が付くのではないかと思いますので、答えは今日は言わないことにします。
本校は育成する学生像として「モノをつくる力でコトを起こす人」を掲げています。モノの作り方、コトの起こし方は5年間じっくりと学んでもらうとして、自らモノが作れると何が良いのかお話ししたいと思います。
例えば家具がほしい時に普通はお店に見に行くと思いますが、自分の家にピッタリサイズでかつデザインもよいものってなかなか無いですよね。仮にオーダーメイドで職人に作ってもらうにしても、自分のイメージを正確に伝えるのは難しいものです。けどもし、自分で家具を作る力があればピッタリサイズで自分の欲しい機能やデザインを実現することができます。もしくは作った経験があれば、職人にお願いするときに正確に伝えることができるようになりますよね。
この自分でモノをつくって問題解決できる力は、コトを起こしていくうえで、誰かが作ったものをそのまま使うだけではできない、問題を解決するにとどまらず、さらに価値を足していくこともできるとても重要な武器になります。自分の頭の中のイメージをそのまま最速で実現できるので、トライアンドエラーでより良いものを作っていくことができますよね。これこそがまさにモノづくりにおけるβメンタリティです。
ぜひこのモノづくりに自分なりに向き合いながら、コトを起こしにチャレンジして欲しいと思います。
あらためて、みなさん入学おめでとうございます!
みなさんの成長を楽しみにしています。神山まるごと高専
校長 大蔵峰樹以上です