2023年度入学式を行いました
2023年4月2日に、神山まるごと高専は初となる入学式を執り行いました。
入学式の理事長式辞を紹介します。
理事長の寺田です。
嬉しいですね。入学生の皆さん、改めて、Welcome to 神山まるごと高専
そしてご参加いただいている保護者、スカラーシップパートナーの皆さん。ご来賓の皆さん。
本日はお忙しい中、お越しいただきありがとうございます。
こうやってこの場で皆さんの顔を一堂に拝見すると、一言では言い表せないものが込み上げてきます。「テクノロジー×デザインで、人間の未来を変える学校」
2018年のプロジェクト開始時、数名の仲間と共に描いた夢物語でした。
そこから手探りで、自分たちがどれだけ進んでいるかもわからない中、学校づくりを進めてきました。少しずつ、応援者が現れ、一人の共感が派生して、一人が二人に、二人が四人に、共感の雪だるまが大きくなるが如く、このプロジェクトに熱量と仲間が集まってきました。
この神山まるごと高専。よく考えてみるとこれだけ社会からの後押しを得て、開校を迎える。
そんな学校、ほかにないんじゃないかなと思います。例えば、クラファンを通じて集まってくれた1000人の先輩。
開校資金はもとより、さまざまなサポートをしていただいているファウンディングパートナーの企業・個人の皆さん。
そしてこの舞台、神山町。この町として大きな変化を前向きに捉えて、後押しをしてくれている、町の人たち。さらには、本丸とも言える、主役の学生・保護者の皆さん。
皆さんが、この神山まるごと高専の、一期生としてチャレンジしようと思ってくれなければ、この場は存在していません。
今中継を見ていただいている方々を含め、この場に集まっている全員が、今創業の瞬間に立ち会っている、いわば「創業メンバー」だと思っています。
私たちの思いは、一つ。
「モノをつくる力で、コトを起こす」
この神山まるごと高専から、そういう力を持った、若者が巣立っていく。
日本を、社会を、世界を変えていく。未来を作っていく。
みんなが作るサービスやプロダクトがイノベーションを起こしていく。そんな光景を見たい。
その一心だと思います。2018年のキックオフから、約5年をへて
ようやくスタートラインに立とうとしています。
今日この場に集まった創業メンバーみんなで、まずはこのスタートを喜びたいなと思います。ちょっとその場で、立ち上がっていただけますか?
(立ち上がってもらっている途中で)お互いに拍手を送るような形でできればと思います。
私が、開校を今から、宣言します。よろしいですか?それでは、
本日、2023年4月2日。
神山まるごと高等専門学校はここに「開校」いたします。ありがとうございます。
それでは皆さん、今一度、お座りください。
ここから、もう少し時間をもらって、今度は学生のみんなに、私からメッセージを送りたいと思います。みんなに対するメッセージであると同時に、15歳だった当時の自分へのメッセージ。そんな気持ちで言葉にしました。
3つあります。
みんなは、自分自身の選択で、この場に集っている。そう理解しています。
地元の高校に進むとか、いわゆる普通の選択肢が当然ある中で、
あえて、この先どうなるかわからないこの新しい学校を選んで、この場に来てくれている。ありがとう。たくさん考えて、たくさん悩んだかもしれませんが、そこにはきっと、みんな一人一人の意思があって、決断があったんだと思います。
きっとみんなにとって、神山まるごと高専に進むんだというその意思・選択こそが、
神山まるごと高専が育もうとしている、起業家精神のある意味、芽生えなんじゃないかなと思います。この起業家精神とは、なんなのでしょうか?
ある人は志と言ったりします。
すごい素敵な言葉だなと思います。ただ少し素敵すぎるかなと思います。もちろん、それを否定するものではありません。ただ、そうじゃなくてもいい。
そうじゃない方がいいかもしれないとさえ思います。起業家精神ってもっとこう、生々しい。なんかしてやりたい。何かできるはずだ。
そういう、自信と不安がないまぜになったようないわば「野心」のようなものを指すんじゃないかなと思います。思い返すと、当時15歳の寺田少年。まさに自分に対する自信と不安がないまぜになった、野心をうちに抱えて、悶々としていました。
みんなと当時の私が違うのは、当時の私は野心をぶつける場所がなかった。
なぜかといえば、私が受けてきた学校教育の内側には、野心の発露を求められる瞬間もなければ、その野心を社会に繋げていくための能力を身につける機会も乏しかったと思います。
今こうして起業家として社会に向き合って思うのは、社会を変えたい、何かしてやりたいというという気持ちには、年齢関係ないなと思います。
むしろ早ければ早い方がいいと思います。この神山まるごと高専は、多様なバックグラウンドを持った、15歳から20歳の学生が集い、相互に野心を発露して、その野心を、社会に繋げていくためのすべ。
ものをつくる力、コトを起こす力を学んでいく。そういう場として作ってきました。だから皆んなには、ピュアに、自分の野心に向き合って、
全てを吸収していってほしいと思います。大きく成長して欲しいと思います。次に、野心。
この野心が、野心のままで終わらない。社会を変えていく、ものをつくる力でことを起こしていく、そう言ったことにつながっていくために、もう一つ、僕自身が重要だなと思うことをお伝えしたいと思います。
それは、失敗なんてないということ。
どういうことか。私自信、十五の頃は、物事には一つひとつ、成功と失敗があるんだと思っていました。
それは、まるで天国と地獄くらい、大きく違うものでした。でも自分自身、起業家になって思うのは、
物事を進めるときには、何か目標・いわゆる北極星を定めて、そこに向かう。その道中では、うまくいかないことを試行錯誤しながら、一歩一歩、足を進めていくことしかできないんだとなんだいうことです。北極星を目指して進んでみたら、落とし穴があった。けど、そのおかげで、次は落とし穴というものに気をつけることができるようになる。
北極星を目指して進んでみたら、方向がちょっとずれていた。けどおかげで、新しい道を発見した。
こういうことの繰り返しだと思います。起業、ことを起こしていく。そういうことなのかなと思います。神山まるごと高専では、「βメンタリティ」というビジョンに、この精神性を持たせています。
β、すべては挑戦の過程 ということです。失敗があるとしたら、昨日おろしたてのシャツでカレー食ったら、こぼしちゃった。とか
誰もがわかるようなもの。
もしくは、挑戦をやめること。諦めてしまうことが、それだけが失敗だと思います。やり続けていれば、そこには失敗はなく、学びしかない。
そう思っています。β Mentality のもと、失敗を恐れず学び続けてほしいなと思います。
最後です。ひとたび、社会に目を向けると、どんどんどんどん世の中の流れが早くなっっていって、
私自身、目が眩むようです。直近も、生成系AI、Chat GPTの登場で、ここから社会が大きく変わっていくんじゃないか。
大きく変わっていくに決まっている。そんな状況に感じています。私自身その変化を間に、そして日本が置かれている状況に想いを馳せると、自分自身の無力感に苛まれます。
でも、それでもなお、信じています。
結局、人が。人の思いが、社会を変えていくんだ。
その思いが、一人が二人になり、二人が四人になり、その人の行動が周りに伝播していく。そのプロセスを持って、世界は動いていくんだと思います。先日、とある文章を見つけました。そこにはこう書いてありました。
「たった一人の情熱が、世界を変えていく。」今日はこの言葉を少しだけ、私なりに言い換えて、最後に皆さんに送りたいと思います。
「たった一人の野心が、世界を変えていく。」
みなさんの野心が、いずれ、世界を動かしていきます。
モノをつくる力で、コトを起こしていきましょう。神山まるごと高専
理事長 寺田親弘以上です